[Faif-translation] 第一章

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Gotou You pfh01****@nifty*****
2002年 8月 3日 (土) 03:19:39 JST


後藤です。

今回も次のような方法でコメントを書きました。
【a/b】   -> a を b にしたらどうかという提案
【;c】    -> c はコメント(今回ここに英文を引用)

11章のときの全文残したやり方は良くなかったと反省して、順番に抜書き的に書いています。

今はとにかくガシガシ訳していく段階で、ニュアンスにわたるコメントはどうかとも思ったのですが、自分が色んな意見を聞くのが好きなもんで、どんどん書いています。私のときもどうぞよろしくお願いします。

翻訳作業には加われないが、ちょっと様子を見に来たというそこのあなた !! 何か気がついたら、気軽に投稿して下さいませ。お待ちしております !! 
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【実際、AI 研でも最高のプログラマはプログラマ用語を嫌い、その代わりにもっと俗語めいたハッカーという職業名を好んだ。/実際、AI 研でも最高のプログラマはプログラマという言い方を嫌い、その代わりにもっと俗語めいたハッカーという職業名を好んだ。;"Indeed, the best programmers at the AI Lab disdained the term programmer, preferring the more slangy occupational title of hacker instead." の"the term programmer"は、the term = programmer で、「プログラマという言い方」とか「プログラマという言葉」の意味だと思う。】

【ストールマンがゼロックスのレーザープリンタの紙づまり問題を発見したときにパニックを起こさなかったのは、このギブアンドテイクの哲学があったからだ。彼は単純に新しいシステムのために古い改良箇所や「ハック」をアップデートする方法を探そうとした。だが、ゼロックスのレーザープリンタ用ソフトウエアを調べてみると、ストールマンは厄介なことを発見した。プリンタにはソフトウェアがないのだ。とにかく、ストールマンや仲間のプログラマにも読めるものが何もない。それまではどの企業もソフトウェア毎にマシンに命令を伝えるコマンドの書かれたソースコードを読めるテキストファイルを出すくらいのことはしてくれていた。今回、ゼロックスはソフトウェアをコンパイルされた、いわゆるバイナリ形式で提供していたのだ。プログラマは好きなときにファイルを開いても構わなかったが、1と0が延々と続くのを解読する専門家でもない限り、出力されるテキストはまったく訳の分からない代物だった。 
/ストールマンがゼロックスのレーザープリンタの紙づまり問題を発見してもあわてなかったのは、このギブアンドテイクの哲学があったからだ。彼は新システムのために昔やった修繕、つまり、「ハック」を最新のものにする方法を探し始めただけだった。しかし、ゼロックスのレーザープリンタ用ソフトウエアを調べると、ストールマンは厄介なことを発見した。プリンタにソフトウェアがないのだ。少なくとも、ストールマンや仲間のプログラマに読めるものが何もない。それまで、ほとんどの会社は礼儀としてソースコードファイルの形でそれを発表してくれていた。ソースコードファイルは、機械に何をすべきか伝える個々のソフトウェアコマンドを記録した判読可能なテキストファイルだ。今回、ゼロックスは、ソフトウェアをあらかじめコンパイルした形で、つまり、バイナリの形で提供していた。やりたければ、プログラマがそのファイルを開くのは自由だが、切れ目のない1と0の列を解読できる専門家でない限り、テキストを開いてもまったくちんぷんかんぷんだ。
;"It was because of this give-and-take philosophy that when Stallman spotted the print-jam defect in the Xerox laser printer, he didn't panic. He simply looked for a way to update the old fix or " hack" for the new system. In the course of looking up the Xerox laser-printer software, however, Stallman made a troubling discovery. The printer didn't have any software, at least nothing Stallman or a fellow programmer could read. Until then, most companies had made it a form of courtesy to publish source-code files-readable text files that documented the individual software commands that told a machine what to do. Xerox, in this instance, had provided software files in precompiled, or binary, form. Programmers were free to open the files up if they wanted to, but unless they were an expert in deciphering an endless stream of ones and zeroes, the resulting text was pure gibberish." "the old fix or " hack" の "or" は、「つまり」のほうだと思う。】


【唯一の違いは、AI 研のためにソフトウェアをコピーさせてもらうのにストールマンはハーヴァードのハッカーに自分たちのオリジナルのプログラムを使えなくしてしまうことはないという点だけだ。/唯一の違いは、AI 研のためにソフトウェアのコピーを借りてきても、ストールマンとしては、ハーヴァードのハッカー達から何もとりあげていないという点だ。ハーヴァードのハッカーは、自分たちのオリジナルのプログラムを使うことができる。;"The only difference was that in borrowing a copy of the software for the AI Lab, Stallman had done nothing to deprive Harvard hackers the use of their original program. "文を分けて書いたほうが意味を明確に書けると思う。】

【ハーヴァードからは誰もプログラムを借り出しに来た人はいなかったが、民間の建設会社 Bolt, Beranek & Newman のプログラマがやって来てプログラムを借り出し、いくつか機能を追加したものをすぐに AI 研のソースコード・アーカイヴに取り込んだことをストールマンは覚えていた。 /ハーバードからは誰もプログラムを借り出しに来なかったのだが、ストールマンは、エンジニアリングの合名会社 Bolt, Beranek & Newman のプログラマのことを思い出す。彼は、プログラムを借り出して幾つかの機能を追加した。ストールマンは、それを最終的には、AI 研のソースコード・アーカイヴに再び統合した。 ;"Although nobody at Harvard ever came over to borrow the program back, Stallman does recall a programmer at the private engineering firm, Bolt, Beranek & Newman, borrowing the program and adding a few additional features, which Stallman eventually reintegrated into the AI Lab's own source-code archive. " これも、文を分けて書いたほうが意味を明確に書けると思う。】
【;ハーバードの表記が一般化しているように思うがどちらにすべきかは不明。】
【;Bolt, Beranek and Newman, Incをオンライン事典で見ると、"A company in Cambridge, Massachusetts, USA. They were awarded the original contract to build the ARPANET and have been extensively involved in Internet development. They are responsible for managing NNSC, CSNET, and NEARnet. "とあり、「エンジニアリングの合名会社」としてみました。】

【西海岸では AT&T の下級エンジニアと共同作業していたカリフォルニア大学バークリー校のコンピュータ科学者たちが、この手法でオペレーティング・システムをまるごと完成させた。Unix と呼ばれる、学究レベルではよりまともな旧式の Multics という名のオペレーティング・システムの影響を受け、そのソフトウェア・システムは磁気テープにコピーする実費と送料を負担する気があればどのプログラマにも利用可能なものだった。/西海岸では、カリフォルニア大学バークリー校のコンピュータ科学者たちが、AT&T の数人の下級エンジニアに協力して、この手法でオペレーティングシステムをまるごと完成させた。Multics という旧式だが学問的にはより立派なオペレーティングシステムをもとにつくった Unix という作品だ。そのソフトウェアシステムは、新しい磁気テープ代と送料を惜しまないプログラマなら、誰でも利用することができた。;"On the west coast, computer scientists at UC Berkeley, working in cooperation with a few low-level engineers at AT&T, had built up an entire operating system using this !
system. Dubbed Unix, a play on an older, more academically respectable operating system called Multics, the software system was available to any programmer willing to pay for the cost of copying the program onto a new magnetic tape and shipping it. "この下級エンジニアというのが、Ken Thompson と Dennis Ritchie ですね。】


【;"Why not share it out of a simple desire for good karma? "の"for good karma"は、日本で伝統的に使われてきた表現なら、(良い来世のために)「善行を積む」といったあたりでしょうか。「カルマを上げる」という訳をつけることには反対です。この表現は、松本某のもので、オウム教団の信徒を偽罔してあらゆる無残な行為に駆り立てるために用いられたものですから。「カルマ」という言葉自体は、オウムより前から、日本でもけっこう使われていましたが「良いカルマ」とするよりも、意味をとったほうがいいと思う。もっとも、ヒッピー文化の影響を訳語に生かしたければ「カルマ」は残したいかもしれませんね。】


【しかし、望んでいたファイルを出すのに失敗すると、ストールマンに疑問が芽生えた。前の年に彼はカーネギーメロン大学の医学生との間にある揉め事を経験していたのだ。/しかし、隠された欲しいファイルを明るみに出すのに失敗したとき、ストールマンの疑問はふくらみ始めた。前の年、ストールマンは、カーネギーメロン大学の博士過程の学生に対して腹を立てるという経験をしていた。;"When the desired files failed to surface, however, Stallman began to grow suspicious. The year before, Stallman had experienced a blow up with a doctoral student at Carnegie Mellon University. " "doctoral student" は「博士過程の学生」。】


【互いに共有し合うという意図を尊重せず、その代わりにリードは企業にプログラマが情報アクセスするために支払いを強制させるための手段を盛り込んだのだ。 
/リードは、互いに共有し合うという考え方を尊重しないで、プログラマが情報にアクセスするなら会社に金を払わざるをえない方法を導入したのだ。;"Instead of honoring the notion of share-and-share alike, Reid had inserted a way for companies to compel programmers to pay for information access. "ここでは、"the notion" は意図というより理念や考え方の意味ではないでしょうか。】


【一週間が過ぎ、ゼロックスのレーザープリンタのソースコードを突き止めるという試みが壁に行き当たった頃、ストールマンは前と同じような金のためのコードというシナリオが動いているのではないかと勘付き始めた。だが手も足も出なくなる前に、ようやくプログラマの風の噂でいい知らせが伝わってきた。話によれば、カーネギーメロン大学のコンピュータ・サイエンス学部の科学者がゼロックスのパロアルト研究所の仕事を辞めたという。その科学者が件のレーザープリンタを担当していたのだが、噂では彼はカーネギーメロン大学の調査業務の一環として今でもまだその担当だというのだ。 
/数週間がたち、ゼロックスのレーザプリンタのソースコードを突きとめる試みが壁に突き当たった頃、ストールマンは、コードをお金にする同じシナリオが働いていることを感じ始めた。しかし、ストールマンがそれについて何か言えるようになる前に、プログラマの情報網からついに良いニュースが伝わってきた。カーネギーメロン大学のコンピュータサイエンス学部のある科学者はゼロックスのパロアルト研究所の仕事を辞めたばかりだ。科学者は問題のレーザープリンタをやっていたうえ、噂によれば、カーネギーメロンでの彼の研究業務の一環として、まだそれをやっているらしい。
;"As the weeks passed and his attempts to track down Xerox laser-printer source code hit a brick wall, Stallman began to sense a similar money-for-code scenario at work. Before Stallman could do or say anything about it, however, good news finally trickled in via the programmer grapevine. Word had it that a scientist at the computer-science department at Carnegie Mellon University had just departed a job at the Xerox Palo Alto Research Center. Not only had the scientist worked on the laser printer in question, but according to rumor, he was still working on it as part of his research duties at Carnegie Mellon. " "As the weeks passed" なので「数週間」。 "Before Stallman could do or say anything about it,"は、確証を得る前にという意味かと。】


【これまでの疑いは捨て、ストールマンは次にカーネギーメロン大学のキャンパスを訪れる際にはその人物が誰なのか突き止めてやろうと堅く決意した。
/これまでの疑いは捨てて、次にカーネギーメロン大学のキャンパスを訪れる際にはその問題の人物を探し出そうとストールマンは決心した。;"Casting aside his initial suspicion, Stallman made a firm resolution to seek out the person in question during his next visit to the Carnegie Mellon campus. "「その人物が誰なのか突き止めてやろう」というと、犯人探しのようなニュアンスを感じ、「これまでの疑いは捨て、」というのと不調和に思えたので(そうでもないかな)。】

【ほどなく、その機会がやってきた。カーネギーメロン大学にも人工知能を研究するための施設があり、数ヶ月以内にストールマンはビジネス絡みの理由からキャンパスを訪れることになったのだ。/ほどなく、その機会がやってきた。カーネギーメロン大学にも人工知能を研究するための施設があり、ストールマンは数ヶ月以内に業務でキャンパスを訪れることになった。;"He didn't have to wait long. Carnegie Mellon also had a lab specializing in artificial-intelligence research, and within a few months, Stallman had a business-related reason to visit the Carnegie Mellon campus. " 「ビジネス絡みの理由から」と書くと「儲け話があって」というニュアンスを感じて「業務」に(そうでもないかな)。】

....................................今日はここまで。




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