[Efont-devel] Re[2]: Fw: さざなみフォント(sazanami-gothic.ttf)の再配布について

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os-ii****@oki***** os-ii****@oki*****
2006年 1月 24日 (火) 16:02:32 JST


狩野 様

   お忙しい中、詳細な御回答有難うございました。

   >配布物がフォントのフルセットを内蔵しているのであれば(ユーザが容易に取り
   出し可能になっていなくても)
   >フォントの再配布と見るべきでしょうが、ユーザが自由に入力した文字列をそ
   のまま PDF に印字する機能を持っているのであれば、
   >機能の間接的な再配布であると考えるべきでしょう。

   >逆に言えば、予め固定された文字列をレンダリングしたラベルのような物を表
   示するのであれば、
   >それは静的な PDF への出力と同様、フォント機能の再配布と見なされる物では
   ないでしょう。

   弊社開発アプリケーションは、御回答中の上記部分に該当するものであり、再配
   布については問題が無いことが理解できました。

   >ライセンスはフォントを入手した人全てに適用されますから、再再配布にあ
   たっても再配布と同じ利用条件が適用されます。
   >OEM を格別に区別する必要があるとは認識しておりません。

   弊社開発アプリケーションをOEM先に配布することも、前述の利用条件をクリア
   していれば問題無いことが理解できました。

   >改めて申し上げておきますが、さざなみフォントを利用した結果については
   まったくの無保証です。
   >さざなみゴシックの現バージョンを製品にお使いになったことによって、ユー
   ザに嫌悪感を催させることになったとしても、まったく責任は負いかねます。
   はい。上記を了解の上で、使用させて頂きます。

   最後に一つ確認ですが、弊社開発のアプリケーションは狩野様の御説明によ
   り、フォントとしての再使用を目的としない用途であり、Redistributionには当
   たらないと理解致しました。
   従いまして、著作権表示並びにライセンスファイルを同梱する必要は無いと認識
   しておりますが、問題ありますでしょうか?
   もしくは、フォントオブジェクトに同梱されていたReadMeやLicenseファイルを
   弊社開発アプリケーションに同梱しておけば問題ありませんか?

お忙しい中大変申し訳ありませんが、御回答宜しくお願い致します。
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株式会社  沖データシステムズ
ソフトウェア開発2部 Utility Group 飯島 治
〒370-8585  群馬県高崎市双葉町3番地1
TEL       :027-328-6238(内線:6657)
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             KANOU Hiroki                                                  
             <kanou****@khdd*****>                                              
                                                                      宛先 
             2006/01/24 12:59          efont****@lists*****    
                                                                        cc 
                                       Osamu                               
                                       Iijima/ODCJ/OKI_DATA_CORP/OKI_ELECT 
                                       RIC/US @ OKI_ELECTRIC,                
                                       kazuh****@fdiar*****, kanou****@khdd***** 
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                                       Re: [Efont-devel] Fw:  さざなみフォ 
                                       ント(sazanami-gothic.ttf)の再配布に 
                                       ついて                              
                                                                           
                                                                           
                                                                           
                                                                           
                                                                           
                                                                           




飯島様

狩野と申します。
ご返事差し上げるのが遅くなりましてたいへん申し訳ありません。

さざなみフォントに含まれる、再配布に関する文言について執筆しましたので、
私が回答するのがよいかと思います。

> 現在弊社では貴団体が作成された「さざなみフォント(sazanami-gothic.ttf)」を
組
> み込んだアプリケーションを開発中でございます。
> 弊社開発のアプリケーションでPDFデータを出力する際に、貴団体が作成された
「さ
> ざなみフォント」を使用する予定でございます。
>
> そこで、弊社開発のアプリケーションを市場展開する際に以下懸念事項がござい
ま
> す。
> お忙しい中申し訳ありませんが、下記懸念事項に対して御回答お願い申し上げま
> す。
>
> 1.配布・再配布のライセンスについて
>       貴団体が開発された「さざなみフォント」に同梱されている"README"ファ
イ
> ルには、以下記載があります。
>
>       「ただし、フォントの文書への埋め込みなど、フォントとしての再使用を
目
> 的としない用途においては、
>       以下で言う Redistribution には当たらず、制限なく行えるものとしま
> す。」

・PDF 出力機能があるプログラム
・さざなみゴシックの文字図形を利用している

という二点だけからでは、「フォントの再配布」を行っているかどうかは
判断できません。具体的な利用状況に従ってご判断ください。

「フォントとしての再利用」と「再利用を意図しないデータの配布」を判別
する境界をどこに置くかを考えれば、基本的な考え方として、市販されている
フォントで一般に許されている条件と同じとお考えいただければいいかと思いま
す。

現在、商用のフォントの多くが「PDF に埋め込み可能」として小売販売されて
います (一部のフォントは PDF のデジタルデータの再配布を許さない場合も
ありますが、ここではその種の媒体・用途制限のある場合は議論の対象外と
します)。

通常のライセンス許諾では、フォントを使って作成された文書を配布することは
許諾しても、第三者にフォントが利用可能な形で配布することは禁止されていま
す。
その類形として以下のような二つの行為を禁止し、それぞれに対してより高額
な料金体系でライセンス供与するのが普通です。

・データとしての (全体的な) 再配布
・フォントの持つ機能を間接的に提供する形での再配布

前者はデータそのものを第三者に配布する直接的な再配布で、厳密に言えば
フォントの埋め込まれた PDF の配布もそれに該当するわけですが、フォント
全体からすれば一部の字種のみでそれ単独では必要な字種が揃わないこと、
インストール可能な形で提供されていないことの二点から許容されている
ものです。

文字図形そのものの再配布は認めつつ (そうでなければ印刷用のフォントを
買う意味がありません)、フォントの機能を利用すること――テキストデータ
から、視覚的に認識可能な図形の組合せを作り出すこと――はライセンスを
受けた者にしか認めないというのがキーポイントであると言えるでしょう。

そうであれば、フォントそのものの再配布は伴わなくとも、ユーザの動的な
入力に対応して変わる図形出力を得られるような利用の仕方 (典型的な例と
して、バナー作成 CGI が挙げられるでしょう) が通常ライセンスと別に、
サーバライセンスとして設定されているのは理解できますし、それを必要と
しない Web 上での利用形態がどのような物であるかも判断可能になります。

(PDF のような静的文書と異なる) 動的コンテンツでの扱いについては、
フォントワークスによる「LETS」ライセンスポリシーがすでに存在します。
より細かい禁止事項が設定されていますが、上に述べたような考え方から
導き出せることをより具体的に述べただけであるように私には思えます。
http://www.macromedia.com/jp/macromedia/proom/pr/2004/mm_fontworks.html
#このライセンスポリシーで許されない可能性のある最も単純な Flash は、
#デジタル時計を表示するものでしょう。

お尋ねの件にある PDF を作成するプログラムですが、これに関しても同様の
基準でご判断いただければと思います。。配布物がフォントのフルセットを
内蔵しているのであれば(ユーザが容易に取り出し可能になっていなくても)
フォントの再配布と見るべきでしょうが、ユーザが自由に入力した文字列を
そのまま PDF に印字する機能を持っているのであれば、機能の間接的な
再配布であると考えるべきでしょう。

逆に言えば、予め固定された文字列をレンダリングしたラベルのような物を
表示するのであれば、それは静的な PDF への出力と同様、フォント機能の
再配布と見なされる物ではないでしょう。 典型的な利用法としては、文書の
上にスーパーインポーズされるウォーターマークが挙げられます。

これは、さざなみフォントの再配布許諾条件に限らず、私がユーザとしての
立場に立ったときでも、ここまでは認めてほしいという境界線でもあります。
自社のフォントは固定されつつ、文書の別の部分が可変であるというのを
認めたくないベンダの方もいらっしゃるとは予想できますが、紙への印刷で言えば
レターヘッドを刷った上にユーザが可変な内容を書き込むのと変わりありません
し、書き込み可能なフォームを含んだ PDF ファイル (もちろん、書き込み
文字列にはシステムフォントが利用されていると言う条件で) が認められない
というのは制約がきつすぎます。それが認められないのであれば、アンテナ
ハウスの「書けまっせ PDF」(http://www.antenna.co.jp/KPD/) のような
製品を利用するユーザは同様にフォントベンダの権利を (そうと意識せずに)
侵害しているということになってしまい、ユーザにとっての利便性が大きく
損なわれます。

長々と書いてしまいましたが、これだけの情報があれば、より詳しい情報を
開示なさらずに判断が可能なのではないかと期待しています。

改めて申し上げておきますが、さざなみフォントを利用した結果については
まったくの無保証です。グリフのアウトラインが壊れていないか、ファイル
フォーマットが正しいか、字体に誤りが無いか、ある文字を入力した時に
その文字がきちんと出てくるか、全文字に対する出力確認すら行っておりません。
ましてや、それ自体美的とは言えないさざなみ明朝に比べてもデザイン上の
破綻が目立つ (線幅が固定されていますから当然です) さざなみゴシックの
現バージョンを製品にお使いになったことによって、ユーザに嫌悪感を催させる
ことになったとしても、まったく責任は負いかねます。

正直申し上げて、さざなみゴシックを有効に利用できる場合というのは、上にも
書いたウォーターマークの例 (料金を払うと、上に重ね刷りされた余計な文字を
見なくてすむようになる) くらいしか思いつきません。利用条件を守った上で
使うのは全く自由ですから、使うなと言う筋合はございませんが、さざなみ
フォントで文字を表示する商品を見かけたら、美的センスの敏感な友人が購入を
検討している際に思い留まるように助言するくらいのことはするでしょう。
「お前があんな物を公開したせいで汚い文字を毎日見なければならなくなった。
どうしてくれる」と言われて友情に罅が入りでもしたら困りますから。

もし幾つかの限られた文字列を固定サイズの画像に落として利用するだけで
あれば、レタリング調の手書き文字をスキャンして、画像編集ソフトウェアで
レタッチをかけた方がよほど破綻が目立たずに済むはずです。仮名と英字に
字種は限られますが、M+ Outline Font (http://mplus-fonts.sourceforge.jp)
のようなデザイン品質の高いフォントはできる限り利用すべきでしょう。
他にも、改変可能なフォントを近日中に公開する予定で作業を進めている方が
いらっしゃいますので、製品開発の最終段階まで文字の差し替えを可能にして
おくことが得策かと存じます。

> 2.OEM再配布のライセンスについて
>       上記の弊社開発のアプリケーションをOEMとして提供し、OEM先が弊社開発
ア
> プリケーションを配布する場合、貴ライセンスに抵触しますでしょうか?

これについては、ライセンスはフォントを入手した人全てに適用されますから、
再再配布にあたっても再配布と同じ利用条件が適用されます。OEM を格別に
区別する必要があるとは認識しておりません。

狩野 宏樹  <kanou****@khdd*****>

文章中で述べた第三者の発言に関して述べた内容は私の個人的解釈に基づく
 ものであって、言及されている各企業の見解ではありません。




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