[JM:00949] Re: coreutils.info のチェック (第 4 - 6 章)

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長南洋一 cyoic****@maple*****
2013年 10月 13日 (日) 22:19:36 JST


長南です。

メールを短くするために、引用をちょん切りすぎたかもしれません。

元木さんのメールより [JM:00948]
> 
>>>> `-z'
>>>> `--elide-empty-files'
>>>>     Suppress the generation of zero-length output files.  (In cases
>>>>     where the section delimiters of the input file are supposed to
>>>>     mark the first lines of each of the sections, the first output
>>>>     file will generally be a zero-length file unless you use this
>>>>     option.)  The output file sequence numbers always run
>>>>     consecutively starting from 0, even when this option is specified.
>>>>
>>>>     サイズ 0 の出力ファイルができないようにする (入力ファイルを部分に
>>>>     区切る行が、各部分の最初の行でもある。そういう想定の場合に、この
>>>>     オプションを使わないと、一番目の出力ファイルがたいていサイズ 0 に
>>>>     なる)。このオプションが指定されているときでも、出力ファイルの
>>>>     連続番号が 0 から始まって、順番に増えていくことに変わりはない。

>>>>   "In cases ..." の "are supposed to" がうまく訳せないでいます。

> be supposed to は仮定だと思います。
> 「〜という状況を考えると」といった感じだと思います。
> 「なることになる」はちょっと意味が違うと思います。

直訳すると、「... ということが仮定される (されている) 状況では」かな。
その「仮定される」をどう訳せばこの場合適切かで、のたうちまわっている
わけです。

suppose の中心的な意義は「仮定する」ですが、辞書には suppose の訳として、
次のようなものも載っています。

研究者 リーダーズ+プラス
  be supposed to do ...
  ... することになっている。
    Everybody is supposed to know the law. 法律はだれもが知っていることに
    なっている 《知らなかったといってのがれられない》.

小学館 ランダムハウス
  suppose
    --- (省略) ---
  8 ((受身で)) 予期する、期待する、要求する (expect) ((to つき不定詞を
    伴う)) --  He was supposed to call a girlfriend  at ten-thirty. 
    十時半にガールフレンドに電話することになっていた。(以下略)

この訳し方を応用できると思いました。直訳してみます (見やすさを考えて、
原文をもう一度出しておきます)、

  In cases where the section delimiters of the input file are supposed 
  to mark the first lines of each of the sections,

  インプットファイルのセクションデリミタが、各セクションの最初の行を
  印付けることになっている場合に

もう少し日本語らしくすると、

  入力ファイルを部分に区切る行が、どの部分においてもその最初の行に
  なるように想定 (予定、期待) されている場合に

> 以下でも「現れるようにする」は個人的には変だと感じました。
> 「現れるような場合」の方が個人的にはしっくり来ます。

ここで、見方を少し変えて、suppose するのは誰かを考えてみます。
「法律はだれでも ...」の例なら、社会とか世間とかでしょう。問題の原文の
場合は、結局 csplit の実行者だと思います。実行者が、各部分の最初の行に
デリミタ文字列が来るようにしようと思う。そこで、少し飛躍した訳ですが、

  入力ファイルを部分に区切る文字列が、各部分の最初の行に現れるように
  する場合に

あるいは、

  入力ファイルを部分に区切る行を、どの部分でもその最初の行にする場合に

このようにしても、言っていることは大体同じではないかと思ったわけです。
"be supposed to" を何とか生かそうとして、ひねくりまわした訳ですし、
たいして分かりやすくもなっていないので、自分でも気に入っているわけでは
ありません。それで、元木さんがおっしゃった「入力ファイルの区切り行が
各部分の最初の行のような場合には」のような "be supposed to" にあまり
こだわらない訳し方も確かにあるな、と思いました。わたしは、"be supposed to" 
のような言葉を省略せずに訳したいと思う方ですけれど。

>>>> 6.4 `md5sum'
>>>>
>>>>       Note: The MD5 digest is more reliable than a simple CRC (provided by
>>>>     the `cksum' command) for detecting accidental file corruption, as the
>>>>     chances of accidentally having two files with identical MD5 are
>>>>     vanishingly small.  ...

>>>>        注意: MD5 ダイジェストは、ファイルの不測の損傷を検知することに
>>>>     関して、単純な CRC (`cksum' コマンドで使用できる) よりも信頼性が高い。
>>>
>>> 「検知に関して」の方が読みやすいです。
>>
>> 「ファイルの不測の損傷の検知について」と「の」を三つ続けたくなかった
>> のです。「MD5 ダイジェストは、」の読点を取れば、このままでも少し読み
>> やすくなるのではないでしょうか。
> 
> 読点を単にとればよい問題ではないと思います。
> この文の骨子が崩れてしまうからです。
> この文章の骨子は「MD5 ダイジェストは単純な CRC よりも信頼性が高い」で、
> 「〜に関して」と訳されている部分はあくまで条件にすぎません。
> 読点を単純に消すということは、「MD5 ダイジェストは」と「〜に関して」を
> 一体にするということなので、文脈上変になります。

おっしゃっていることがわかりませんでした。それでも、何度か考えている
うちに、何となくわかってきたような気がします (まだ、誤解しているかも
しれませんが)。

この文の基本構造は、「MD5 ダイジェストは ... 信頼性が高い」であり、
ほかの部分はそれを修飾したり限定したりしているだけである。
それなのに、

  MD5 ダイジェストはファイルの不測の損傷を検知することに関して、単純な 
  CRC よりも信頼性が高い。

と、ここに読点を置くと、「MD5 ダイジェストは」と「... 不測の損傷を
検知する」とのつながりが強くなりすぎて、「MD5 ダイジェストは」と
「信頼性が高い」のつながりが弱くなってしまう、ということですね。

基本的に、「は」という格助詞の機能は提題ですから (「何々について
言うと」ということ)、その働きは文の最後まで続きます。ですから、
この場合なら、どこに読点を置こうと、「MD5 ダイジェストは」は、
構文上では「信頼性が高い」にかかり、文の構造は変わらないと思います。

しかし、読点の位置によって、読みやすさや構文の取りやすやが変わることは、
よくありますし、場合によっては単語や句の掛かり方が変わってしまうことも
あります。ですから、「... 関して」の後ろで読点を打たない方がよいと
いうのは、神経の行き届いた考え方だと思います。

なお、MD5 が CRC より信頼性が高いのは、一般的、本質的にそうなのであり、
「ファイルの不測の損傷の検知」についてのみではない。だから、「... 検知
することに関して、」とここに点を打つと、「... 検知」が際立ちすぎる。
そうおっしゃっているのではないかとも考えました。これも確かにそのとおり
なのですが、こちらではないでしょうね。

>>>>     However, it should not be considered secure against
>>>>     malicious tampering: although finding a file with a given MD5
>>>>     fingerprint is considered infeasible at the moment, it is known how to
>>>>     modify certain files, including digital certificates, so that they
>>>>     appear valid when signed with an MD5 digest.  For more secure hashes,
>>>>     consider using SHA-2.  *Note sha2 utilities::.

>>>>     だからと言って、悪意のある改竄に対して安全だと考えては
>>>>     ならない。ある特定の MD5 指紋を持つファイルを見つけ出すことは、現在の
>>>>     ところ事実上不可能だと考えられているが、デジタル証明書を含むある種の
>>>>     ファイルが署名に MD5 ダイジェストを使用しているとき、そうしたファイル
>>>>     に手を加えて、有効に見えるようする方法なら、周知のことだからである。
>>>>     もっと安全なハッシュ値が必要なら、SHA-2 の使用を考慮した方がよい。

>> このようにさっぱりわかっていないので、この部分はわたしの手に負えません。
>> 訳文が大体通用するようならよいのですが、そうでないならば、適切な案を
>> 教えていただけると、ありがたいと思います。
> 
> 意味がわからないという話だったので、訳へのコメントは避けていたのですが、
> コメントします。訳はだいたい正しいと思います。
> certain files は「ある種のファイル」と訳すのに個人的には違和感がありますが、
> まあいいです。「certain」といっているのは「MD5 で署名されている」のと関係が
> あるのではないでしょうか。訳としては「ある種の」がない方がしっくり来ます。

ありがとうございます。安心しました。

certain files を「ある種のファイル」と訳すことについては、自分でも
気に入っていません。certain は、確かに省略してもよさそうですね。
もう少し工夫してみます。

>> なお、valid は「有効、正当、正規のもの」などを考えました。、どれもイマイチ
>> ピッタリしないと思っていたのですが、「有効」より「正当」の方がよいですか。
> 
> この場合は「正当」の方がよいと思います。

そうすることにします。

-- 
長南洋一




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