長南洋一
cyoic****@maple*****
2011年 3月 25日 (金) 12:25:47 JST
長南です。 > .\"O .SH NAME > .\"O whatis \- search the whatis database for complete words. > .SH 名前 > whatis \- whatis データベースを完全に一致する単語で検索する complete words を「whole words (空白などで前後を区切られた単語)」 と取らず、「キーワードに完全に一致する単語」と取ったとしても、 実際に行われるのは「whatis データベースで、キーワードを使い、 キーワードに完全に一致する単語を検索する」です。ですから、 whatis データベースで完全に一致する単語を検索する でなければ、まずいと思います。もっとも、何を言っているのか わけがわからないと言われれば、そのとおりです。でも、それは 「データベースを完全に一致する単語で」でも同じことでは ないでしょうか。 # 「キーワードと完全に一致する」と言わないと、意味が通じない気が # するのですが、それでは一行説明が長すぎるでしょうし (一行 80 字の # 普通の端末にどう表示されるかの問題)。「キーワードと」がなくても、 # すでに長すぎるかもしれないのに。 # [JM:00186] によると、apropos は grep -i keyword で、whatis は # grep -iw ^keyword だそうですが、大文字小文字を問わない検索なら、 # 「一致」ではなくて、「マッチ」かもしれません。 「完全に一致する単語で」を「完全に一致する単語を検索するという 方法で」と取るのは、やはり無理があるのではないかと思います。 > .\"O .SH DESCRIPTION > .\"O whatis searches a set of database files containing short descriptions > .\"O of system commands for keywords and displays the result on the > .\"O standard output. Only complete word matches are displayed. > .\"O > .\"O The whatis database is created using the command /usr/sbin/makewhatis. > .SH 説明 > .B whatis > はデータベースを検索し結果を標準出力に表示する。 > データベースにはシステム・コマンドなどに関する説明とキーワードが含まれている。 > 表示するのは、コマンドなどの名前がキーワードと完全に一致する項目だけである。 元訳のように for keywords を system commands を修飾するように 訳すのは、はっきり言って誤訳だと思います。原文の for keywords が そんな掛かり方をしていないだけでなく、keywords の意味内容も 違ってしまうからです。原文の keywords は、引数として与えられる キーワードと一致するデータベース中の単語です。一方、元訳の 「説明とキーワード」の「キーワード」はデータベースのキーワードです。 ついでに言うと、short descriptons の short もどこかに行ってしまって います。そう言えば a set of ... files も消えてしまっています。 さらにいけないのは、次の文にも「キーワード」が出てきて、これは 「引数として与えるキーワードそのもの」ですから、また意味が違う ことです。 わたしとしては、apropos と同じように訳した方がよいと思います。 こんなふうに。 whatis コマンドは、システム・コマンドなどの簡単な説明を収めた データベース・ファイルでキーワードを検索し、その結果を標準出力に 表示する。 しかし、ここで面倒な問題が出てきます。「Only complete word matches are displayed.」を訳すとき、「キーワードと」を補充して、 表示するのは、コマンドなどの名前がキーワードと完全に一致する 項目だけである。 とすると、「キーワード」の意味が前後の文章で、やはり違ってしまう ということです (微妙な違いだし、同じだと解釈することもできるかも しれませんから、気にしないという手もありますけれど)。 この場合、前のメールで述べた for keywords を隠して with keywords を 前に出すという行き方をとって、 whatis コマンドは、システム・コマンドなどの簡単な説明を収めた データベース・ファイルをキーワードで検索し、その結果を標準出力に 表示する。 とする必要があるかもしれません。 元訳は誤訳だと言いましたが、弁護できるところもあります。原文の 説明不足を補おうとして、ああなったのかもしれません。つまり、 「whatis データベースは、コマンドなどの名前と、その簡単な説明 から構成されている」と、どこかで言っておきたかったのかもしれません。 そのことは、理解できます。 ですから、捨てがたいところもあるのです。 もし、立花さんが apropos.1 とほぼ同文にする必要がない、元訳の 補充部分を生かしたいとお考えなら、たとえば、こんなふうにすれば よいと思います。二番目の文から「キーワード」を消します。 whatis はデータベースでキーワードを検索し結果を標準出力に 表示する。データベースを構成するファイルには、システム・ コマンドなどの名前とその簡単な説明が含まれている。表示するのは、 コマンドなどの名前がキーワードと完全に一致する項目だけである。 # a set of ... files を「構成するファイル」で生かしたつもりです。 # ない方がすっきりするとお思いなら、抜かしてください。 ここでも、一番目のキーワードと二番目のキーワードの微妙な意味の 違いが気になります。最初の文を whatis はデータベースをキーワードで検索し結果を標準出力に 表示する。 とするか、元訳どおり、最初のキーワードを省略して (それをしてよいか どうか、わたしは自信がないのですが)、 whatis はデータベースを検索し結果を標準出力に表示する。 で済ますか。 # 以下は、おまけです。 # Vine 5.2 には、元訳の一つ前の訳が収録されています。そこでは # whatis の「説明」がこんなふうになっていました。 # # whatis はシステムのコマンドに関する説明とキーワードを含んだ # データベースの集合を検索し、結果を標準出力に表示する。完全に # マッチした単語のみが表示される。 -- 長南洋一