KANOU Hiroki
kanou****@khdd*****
2003年 11月 27日 (木) 00:06:00 JST
狩野です。 [Mplus-fonts-dev 128] での森下さんのご意見を読んで個人的に思った事を。 平仮名の終った段階で試行錯誤することは、良い事だと思います。 方向性をはっきりさせて作業することが、結局は作業を早く進める ことになるはずです。 というわけで、迷惑だともわがままだとも思いません。 > いわゆる「モダン」系のゴシックである以上、広めにとったフトコロや緩やかな > 曲線処理などで、どちらかというと「かわいい」文字になるのは予期して > いましたが、全体的に甘くなってしまって、引締める部分が足りなかった > からだと思います。 引き締めるべきかどうかについて、私はこれといった意見を持って いないのですが、引き締めるのであればこうすべきだという点には 考えがあります。 元の形は、広めの懐や均等な字粒、緩やかな曲線が一つの調和を保って いたと思います (細かい曲線のトーンで、水平・垂直線にそぐわない ようなところはありましたが、レタッチレベルの微調整の問題です)。 これを修正するとなると、単純な機械的修整では解決できず、コンセプトの 微調整が必要になると思います。 > もう少しシャープでオーソドックスなイメージを付加した「ひらがな」セットを > メイン案として制作することにしました。 緩やかだった曲線をシャープにするということは、字を描く筆のスピードを 上げるということです。それは同時に、筆に勢いが生じ、早く書く所と ゆっくり書く所の差が激しくなるということでもあります。 それに伴い、文字全体の形も、その文字の楷書における固有の形に近づいて きます。具体例を挙げれば、「う」「え」はより縦長になり、下に少し 伸ばさなければ調和しません。「え」は幅も僅かに狭くなるでしょう。 あと、斜めの線が少し太いような…。 直感的に、「お」の字は前より安定感が無くなったと思います。 また、「あ」の字の "の" のループは、垂直ではなく斜めに圧縮する方が 適切にも感じます。筆のスピードの観点から言い替えますと、「あ」と 「お」の "の" の部分は、左上から右上までのスピードが上がり、Y 軸 方向に最大値を取る地点が中心ではなく右寄りになります。 ループの大きさも小さくなるでしょう。 「お」の場合は特にそうですが、右上の 1/4 のエリアの線の密度上昇を 避けるため、1 画目の右端は左に寄ります。(これは、「お」の字母が「於」 であることから来る、文字本来の形への回帰としても説明できますが。) また、「あ」にも同様の調整が必要でしょう。 自分で描けない物を勝手放題に言ってしまいましたし、必ずしも適切でない 部分や不十分な説明もあると思いますが、コンセプトの明確化のためには 少しは参考になるかもしれないと思い、書いてみました。 狩野 宏樹 <kanou****@khdd*****>