水冷スリムサーバ「Express5800/110Ge-S」レビュー
次に消費電力の計測です。ここでも計測にはライブCD LinuxのFinnixを利用しました。
マシンへの負荷をstressコマンドで変化させながら、電流値を計測しました。stressのオプションについては次項を参照してください。
状態(stressのオプション) | 電流(A) |
アイドル(OS起動状態) | 0.64 |
--cpu 1 | 0.82~0.83 |
--cpu 2 | 0.93 |
--cpu 3 | 0.93~0.94 |
--cpu 4 | 0.93 |
--vm 1 | 0.90~0.91 |
--vm 2 --vm-bytes 128MB | 1.04~1.05 |
--vm 3 --vm-bytes 128MB | 1.05 |
--io 1 | 0.88 |
--io 2 | 0.94~0.95 |
--io 3 | 0.89~0.94 |
--cpu 1 --vm 1 | 0.97~0.98 |
--cpu 1 --io 1 | 0.94~0.95 |
--cpu 1 --vm 1 --io 1 | 0.96~0.97 |
--cpu 2 --vm 1 | 0.96~0.98 |
--cpu 2 --vm 2 --vm-bytes 128MB | 0.98~0.99 |
--cpu 1 --vm 2 --vm-bytes 128MB | 0.99~1.02 |
--cpu 2 --io 2 | 0.94~0.95 |
--vm 1 --io 1 | 0.97~0.98 |
--vm 2 --vm-bytes 128MB --io 1 | 1.00~1.02 |
--vm 1 --io 2 | 0.95~0.96 |
※室温25℃で計測
--ioと--hddはどちらもディスクに負荷をかけるオプションですが、負荷のかけ方が異なります。--hddはファイルの生成と削除(write()/unlink())を繰り返し実行することでディスクに重点的に負荷をかけます。一方、--ioはメモリとディスクの同期(sync())を繰り返し実行するため、ディスクとメモリの両方に負荷がかかります。
ライブCD型のLinuxディストリビューションでは、起動時に作成されるRAMディスクがローカルディスクとして利用されます。そのため、--hddオプションによるテストを実行しても、実際にはHDDには負荷がかかりません。そこで今回は--hddオプションを使ったテストを省略しています。もっとも、HDDへのアクセスがなくてもRAIDカードやHDDには給電されていますので、これらのパーツのアイドル時の消費電力は上記の結果に含まれています。
また、--vmオプションでは、デフォルトではテストプロセス1つにつき256MBのメモリが消費されます。しかし、今回の評価機には512MBしかメモリが搭載されていないため、そのままでは2つ以上のテストプロセスを生成することができません。そのため、ここでは--vm-bytesオプションを追加指定してテストプロセス1つ当たりのメモリ割り当てを128MBにしました。なお、メモリの割り当てを変更しても、消費電力の差はほとんど生じません。
さて結果を見てみると、今回の構成における最大消費電力(消費電流)は1.05A(100W強)になりました。メモリやHDDがフル搭載された状態ではないのでその分を割り引いて考える必要がありますが、スペックシートに記載されている最大構成時の消費電力「196VA/194W」(約2A)はかなり余裕のある値と考えられます。また、Xeon 3065はCPUの省電力機能のEIST(Enhanced Intel SpeedStep Technology)に対応していますが、今回利用したFinnixはEISTに対応していないので、EIST無効の状態での計測となっています。そのため、EISTを有効にできるOSであれば、消費電力が若干下がる可能性があります。いずれにせよ、高負荷時に100W強という値は110Ge-Sの優れた省電力性能を示すものと言えるでしょう。