IPAフォント(Ver.003.02): Ver.003.01 からの変更内容

ヒント情報の付加(IPAexフォント含む全てのIPAフォント)

小さなピクセルサイズの文字表示品質を向上するために、ヒント情報を付加しました。 ヒント情報とは、アウトラインフォントを低解像度のモニターなどに出力する際、小さい文字が潰れたり、線幅が不ぞろいになったりするのを補正するためにフォント内に設定する情報のことです。

OpenType Font仕様に準拠(IPAexフォントシリーズ含む全てのIPAフォント)

IPAフォントは、OpenType Font仕様書(*1)に準拠することで、マルチOSでの使用を前提とした相互運用性を確保し、公共フォントとしての規範となることを目指しています。 今回、OpenType Font仕様に準拠していなかった以下の項目について変更をおこないました。

  • (1) emユニットの変更

emユニットを1000から、2048 に変更しました。 emユニットとは、フォント作成時にグリフの大きさや座標を表すための相対的な単位です。OpenType Font仕様書では、TrueTypeアウトラインの場合、emユニットの値は2の累乗とし、2,048 が理想的とされています(*2)。

  • (2) 4グリフの追加

OpenType Font仕様書では、TrueTypeアウトラインの場合、フォント内部の管理上、グリフIDの先頭キャラクタ(*3)として.notdef、.null、CR、space の4グリフを要求しており、これを新たに収録しました。

ひらがなやカタカナに濁点や半濁点を付加した場合の処理情報の追加

IPAゴシックの半角欧文デザイン変更

プログラミング時やデータの表示などにとって、より便利なものとなるよう、欧文と数字の違いがわかるようにキャラクタデザインを修正しました。

【対象】
U+002c:コンマ
U+0030:数字のゼロ
U+003b:セミコロン
U+0044:ラテン大文字ディ
U+0049:ラテン大文字のアイ
U+006c:ラテン小文字のエル

問題点の修正(IPA明朝、IPA P明朝、IPAゴシック、IPA Pゴシック)

  • (1) 一部のLinux デスクトップ環境において欧文文字の送りが全角ピッチ表示になる問題を解消。

postテーブルheader isFixedPitchのフラッグを「0」にしました。

  • (2) 拡張子の変更(otfからttf)

「IPAフォント(Ver.003.××)」および「IPAexフォント」は、全体的仕様はOpenType仕様(*4)に準拠し、文字図形の曲線の表現方式についてはTrueType仕様に準拠した、「TrueTypeアウトラインベースのOpenTypeフォント」です。これまで、OpenType仕様に準拠してフォントファイルの拡張子を「.otf」としておりましたが、一部のOSで、拡張子が「.otf」となっている TrueTypeアウトラインベースのOpenTypeフォントが正常に認識されないという問題の発生が指摘されておりました。このため、拡張子を「.otf」から「.ttf」に変更しました。一般には拡張子の変更は、利用上の影響はありません。


(*1)OpenType Font仕様書:http://www.microsoft.com/typography/otspec/
(*2)Hinting and production guidelines specification:http://www.microsoft.com/typography/developers/delivery/hinting.htm
(*3) グリフIDの先頭キャラクタ:http://www.microsoft.com/typography/otspec/recom.htm
(*4) Open Type Font:TrueType 形式を発展させたフォントフォーマットであり、アドビシステムズ社、マイクロソフト社が共同で設計し、アップルコンピュータ社が賛同する形で開発・制定され、公開されています。Linux、Windows、Mac OS X 等の異なるプラットフォーム間での互換性が高いデファクトスタンダードのフォントフォーマットです。