高周波のアイソレーション・ノイズ対策

ここでは、いくつかのテクニックを検討していきましょう。

(※図はあとで書く _;)

ノイズというのは…ここでは、アンテナから入った信号に絞るが…主に?2種類あります。

・大地面に対し、シグナルグランドとシグナルで違う位相のノイズ(ノーマルモードノイズ)

・大地面に対し、シグナルグランドとシグナルの間を同じ位相で伝達するノイズ(コモンモードノイズ)

コモンモードノイズ

コモンモードノイズは、スイッチング電源やパソコンなどが発生させているノイズの主成分です。 これは、電源線やデータ線を通して、外部に放射され、アンテナや同軸ケーブルに乗っかります。 今のラジオ等の雑音の多くは、これやラジオ回路内部等で発生するホワイトノイズです。

厄介なノイズですが、比較的容易に除去できます。(とは言え、言うほど容易でもない)

コモンモードチョーク

コモンモードチョークは、入力と出力の間・グランドとシグナル両方に同じ巻方向でコアで磁気的に結合されたコイルを組み合わせたものです。

このことによって、直流や比較的低い周波数(交流電源など)は殆ど減衰させずに通しますが、高周波信号の中でもコモンモードの信号を選択的に減衰させることができます。

Open I2C Radio では、v1.0のAM側プリアンプの入力で使われています。

但し、これは伝送路で見るとまごう事無きインダクタなので、ノーマルモードの減衰も比較的大きくなりやすいですし、高い周波数・例えばFM帯での損失は非常に大きくなる(か、もしくは容量性結合してしまう)。

ガルバニック・アイソレータ

最近、影山氏が紹介されていた物ですが ( http://sky.ap.teacup.com/akagebcl/1454.html ) 、見た目的にはトロイダルコアを使った絶縁トランスです。但し、入力も出力もシグナルとシグナルグランドの間にコイルを通すので、直流的に絶縁するために比較的大きなセラミックコンデンサでデカップリングしてあります。

只、その磁気回路の構成から、コイルの巻き方を工夫すれば(とはいえ、単純にきつく撚った二本の耐熱ワイヤーで巻いて、バイファイラ巻きにしただけだが)、入力と出力の間のノーマルモード信号の損失を抑え、コモンモード信号だけを減衰させることが可能です。 実際の効果や理論的な話は https://dl.dropboxusercontent.com/u/12339080/radiosiesta%27s_file/%E6%96%B0%E5%9E%8B%E3%82%AC%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%82%BD%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%81%AE%E8%A3%BD%E4%BD%9C%E3%81%A8%E4%BD%BF%E3%81%84%E6%96%B9.pdf 辺りを見て下さい。

今開発中の v2.0では、Nov 29,2013の回路から採用していますが、長波〜5MHz前後まで悩まされていたパソコンや近所のノイズ(※パソコンを隣に置いてある)を相当減衰し、DSPラジオ AKC6955のCN比測定で10〜20dB程度改善することができています。

ノーマルモードノイズ

ノーマルモードノイズは、基本的には電波に乗っかってくるノイズで、背景放射(でいいのかな?)のホワイトノイズやコモンモードではない不正輻射、果ては妨害電波全般がノーマルモードノイズと言えるでしょう。

これについてはコモンモードチョークでもガルバニック・アイソレータでも除去が難しいです。対策としては、

・回路内のシグナルやグランド・電源にノイズを乗らせない

・回路内部のノイズもバカにならないので、ノイズの少ないデバイスを使ったり、発振し難い回路設計や実装を心がける

・色々な事情が許せば、ケースは完全シールドする。但し、中波で持ち歩くことを考えるとバーアンテナが必須になるので、シールドを開ける必要がある。したがって、アンプなどを個別にシールドしたほうがベターっぽい。

と言う辺りになるかと思います。

Last update: 29, Nov 2013 K.Ohta